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国内最大級のデータサイエンティスト集団 ARISE analytics のこれまでとこれから

はじめまして、ARISE analytics 代表取締役社長の家中です。
ARISE analyticsは、今年で設立7年目を迎えました。社員数は150名を超え、派遣社員や業務委託のスタッフを含めると約500名。そのうち350名近くが“データサイエンティスト”であり、データ分析会社としては、国内最大規模の組織です。データサイエンティストの人員構成は、社員に加え、親会社のKDDI、アクセンチュア、KDDIグループ企業であるD5CやDatum Studioなど、様々な会社から集まって成り立っており、各社の知見・ノウハウを持ち寄り、最先端のデータサイエンス技術を駆使することで、クライアントの課題解決に尽力しています。

今回は、この場をお借りしてARISE analyticsのこれまでの歩み、これから目指していきたいことをお伝えします。


ARISE analyticsの成り立ち、KDDIがデータ分析組織を社外に設立した理由

ARISE analyticsは、通信会社のKDDIが85%、コンサル会社のアクセンチュアが15%を出資するジョイントベンチャーとして2017年に設立されました。当時の主なミッションとしては、KDDIのデータドリブン経営・DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させることにありました。
 
ARISE analyticsについて、よく聞かれる質問の一つが「なぜKDDIは、データ分析組織を社外に設立したのか?」です。その理由は、幾つかあると考えています。

1つ目は、スピード感。データサイエンスという日進月歩の領域でアジャイルにチャレンジするには、大企業であるKDDI外にある方がやりやすいこと。

2つ目は、専門人材の採用・育成。今は、KDDIもジョブ型*1の人事制度を採用していますが、当時はメンバーシップ型で*2あり、専門人材の評価、育成が難しかった。データサイエンスという専門スキルに見合う評価、報酬が得られる制度や、育成システムを作り、優秀なデータサイエンティストに集まってもらう必要があったこと。

3つ目は、データサイエンスにおけるプロフェッショナルとして、データというファクトをもとにKDDIが目指すべき方向性などを提言できる組織が必要だったこと。

個人的には、この3つ目の狙いが一番大きいと捉えており、私が社長になった時、KDDIの髙橋社長(当時、副社長)から「KDDIのスタッフから言われた分析業務だけを行うのでは、ARISE analyticsの存在意義がない。アクセンチュアという世界有数のコンサルティング会社とのジョイントベンチャーなのだから、グローバルの最新トレンドを取り込み、KDDIに新たな風を吹き込めるようにKDDIがやるべきことやチャレンジすべきことを戦略的に提言できる組織になってほしい」と言われたことを覚えています。

*1ジョブ型:企業が人材を採用する際に従業員に対して職務内容を明確に定義して雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用システム
*2メンバーシップ型:職務や勤務地などを限定せずに雇用契約を結ぶ雇用システム

ARISE analyticsのスタッフには設立からこれまでを通して、このスタンスでクライアントと向き合うよう伝えてきました。現在KDDIのマーケティング領域でデータ活用が進んでいるのも、それが奏功した結果だと捉えています。

設立当初ぶち当たった壁、データ活用(AI導入)が浸透しない理由

今でこそ「データ活用」「DX」はどの業界・企業においても積極的に取り組むべきこととされていると思います。ただ、ARISE analyticsが設立された2017年頃はデータ活用に懐疑的で、取組みを躊躇している企業も多く、私たちの提案活動が難航することがありました。

企業におけるデータ活用やDXのハードルにあるのが、「実現可能性」「採算性」「失敗時の責任」という3つの要素です。実現性はAIによる予測・検知の可能性、採算性は投資とリターンのバランス、失敗責任は実行して失敗した際に誰が責任を取るのかという点です。

私も社長である以上、事業において何をすべきか判断を迫られるシーンは多々あるため、データ活用を躊躇する企業の方がおっしゃることもよく分かります。ただ、これらのハードルを理由にデータ活用を諦めるべきではないと考えています。VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)の時代と呼ばれる変動性の高い現代において、データは企業の経営判断に欠かせないものであり、それを活用しないことによる利益・ビジネス機会損失は容易に想像できると思います。

以前、とある経営者の方が「やらないリスクとやって失敗するリスクは同じくらい重要視すべきであり、取り組まない場合も同様にリスクと責任を持って判断すべきだ」ということを仰っていました。この言葉は私たちにとって大変勇気づけられる指針となり、それと同時に、リスクを最小限に抑えながらデータ活用に取り組める方法を模索するようにもなりました。

データ活用の成功パターン

データ活用・DXなどの新たな取組みを始める時にはインパクトの大きい領域で取り組むことが何より重要だと考えています。ARISE analytics設立時に行った「KDDIのモバイル解約者数を抑制するプロジェクト」も、その考えのもと行った取り組みです。

KDDIのモバイル事業の代表格といえばauがありますが、まずはauの解約に影響がありそうなデータをシステム連携し、分析基盤に集め、解約者数の予測モデルを構築するところから始めました。最初の分析結果を当時のKDDI 田中社長(現会長)に報告にいったところ、「このくらいの精度なら、自分でも予測できる。もっとモバイルの事業、市場を理解した上で分析・予測を行って欲しい」という厳しいお言葉をもらいました。

そこでモバイル事業を管轄する部署の皆さんに依頼し、解約しやすいお客さまの特徴などを教えていただき、それらを確認するために必要なデータを手作業で収集し分析しました。そして影響が確認できたものを、モデルに組み込みこんでいく地道な作業を繰り返すことで、予測精度を大幅に改善することができました。

さらに解約者数を減らすため、解約の予兆がわかるスコア構築も行いました。まずは一つの施策(例えばテレマーケティングによる割引キャンペーンの告知など)を、このスコアをベースに実施し、スコア精度や施策の有効性を確認。スコアの改善をしながら、スコアを活用した施策数や部署を拡げ、解約予兆のスコアが高いお客様に効率的にアプローチすることで、コストを削減しつつ解約率低下に寄与することができました。

これらの経験からデータ活用で成果をあげるには

1.    インパクトの大きい領域で、現場の知見や洞察を取り入れながら取得できるデータをクイックに集めて分析を行い、施策を実施する。

2.    その結果を効果検証し、新たに得た知見をモデルに組込みPDCAサイクルをアジャイルに繰り返す。

3.    それによって大きな効果が見込めると判断できたら、自動化やシステム化によりさらなる効率化を図り今後の改善を行う。

これらのステップが重要だと心得ました。

データ活用をスケールさせる

「インパクトの大きい領域」で成功事例ができると、周囲の部門のデータ活用に対する興味が高まり、自分たちもデータを駆使して、新たなアプローチに挑戦したいという機運が高まってきます。そして、成功事例ができた部署の次なる課題はデータ分析の内製化、より多くの人がデータに基づいて仕事ができるようになることです。

昨今、社員のデータ分析等の「リスキリング」に積極的に取り組んでいる企業も多いですが、この取り組み自体は有効ではあるものの、それだけでは、データ活用の取組みをスケールするためには不十分です。「リスキリング」と同時に、データを活用するための分析環境やデータ整備も必要です。また、データを業務に適用していくOJT(実地研修)を、同時並行で実施する必要もあるでしょう。

ARISE analyticsでは、2021~2022年にかけてKDDIのマーケティング統括本部 約350名と共に、これらの取組みを推進してきました。この取り組みによる成果は多数ありますが、その一つを紹介すると、ARISE analyticsでマーケティング支援している「au PAY」(QR決済サービス)では、同業他社とのキャンペーン戦争がひと段落した2022年度に、キャンペーンのコストを削減したにも関わらず「au PAY」利用者数を20%増加させることに成功しました。これは改めて、私たちARISE analyticsのスタッフも、データ活用の意義を体感した経験になりました。

ARISE analyticsの展望

私たちARISE analyticsは、ここまでご紹介した通りKDDIが手掛けるau、UQ、povoなど多岐にわたるブランド・サービスを通したマーケティング活動や組織のデータ活用推進だけでなく、金融や電力小売り、オンラインコマースやモバイル広告、ヘルスケア、ドローン、モビリティ事業など幅広い種類のデータ分析、活用の知見を蓄積しています。

私たちが現在保有する具体的なアセットは以下です。

・通信ブランド・各種サービスのマーケティング全般における分析
 
∟ 解約予兆分析
 ∟ テレマーケティング・ダイレクトメール受容度の分析
 ∟ サービス継続利用因子の分析
 ∟販促費用の最適化 など
データ分析基盤の構築
コンタクトセンター通話データからの問合せ意図分析
店舗来店者のポテンシャル分析
コマースサイト向けのレコメンドエンジン
金融領域における与信判断、不正取引検知モデルの構築
再生エネルギー領域における蓄電・放電の最適化モデル構築
モビリティ領域における需要ポテンシャル分析・乗合ポイントの最適化モデル構築
など…

この6年間で築きあげた多様な取り組み実績があります。

そして現在、これまでKDDIおよびKDDIグループ企業内で磨き上げてきたこれらのアセット・ノウハウを、KDDIグループ以外の企業にも提供する準備を進めています。

今後ARISE analyticsのビジネスを拡大していくと同時に、会社としてのケイパビリティの強化にも注力していきます。これまではデータサイエンティストの採用を中心に行っていましたが、今後はビジネスコンサルタントやエンジニアの採用にも力を入れ、異なる専門分野からの人材にもデータサイエンスの知識を学んでもらい、組織全体でデータサイエンスのプロフェッショナルとしての力量を高めていく方針です。

昨今ではAIの民主化やGenerative AIの登場により、データ分析会社やデータサイエンティストの将来に不安を感じている人もいるかもしれません。しかし、新しく素晴らしい技術が登場したとしても、それを正しく理解し使いこなせなければビジネス成果には繋がりません。AIは、ビジネスや社会で業務実装されて初めて新たな価値を生み出すことができます。この価値創造部分にデータサイエンティストの活躍の場はあると考えています。

私たちARISE analyticsはAI・機械学習といった技術の強みと弱み、お客さまのビジネス特性の双方を理解し、それぞれの課題や状況に最適な技術を用いて解決に導くプロフェッショナルとして歩んできました。高度な技術が生まれ続けるこの時代にこそ、私たちの強みである「課題解決力」「業務実装力」はより求められ、より多くのビジネス成果を生み出すことができると確信しています。

革新のパートナー、未来の創造者であるために

ARISE analyticsのコーポレートミッションは、「Best Partner for innovation, Best Creator for the future」です。お客さまの業務や課題を深く理解し、テクノロジーを活用したイノベーションにより、お客さまと共に課題解決をする“ベストパートナー”であり続けること。そして、まだ見ぬ未来に向けて、産業・社会・文化の進展に貢献する“価値創造者”であることを目指しています。

データアナリティクスをコアの強みとしつつ、そこだけに固執することなく自分たちのケイパビリティを拡げ、このコーポレートミッションを成し遂げることができるよう、これからも果敢に挑戦を続けます。そして、ビジネスの成長と変革を牽引し、データサイエンスのプロフェッショナルとして確固たる存在でありたいと考えています。

少子高齢化や人口減少といった課題に直面する中、日本が未来に向けて希望を持ち成長するためには、人間の創造力による付加価値を生む業務と、そうではない業務を見極め、機械・AIと共存しながら生産性向上に努めていくべきだと考えています。ARISE analyticsがそのビジョンに向けて先導する立場を担い、未来を切り拓いていくために全社一丸となり努力してまいります。

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